三十年、
同じ路地で焼いています。
茗荷谷の交番を曲がった先、一階と二階。派手な看板は出していません。近所の方に教わって来る方がほとんどです。
名物めいた演出は何もありません。タンの切り方、タレの合わせ方、キムチの漬け具合。目立たないところを毎日きちんとやる、それだけを続けてきました。
デートでも、家族でも、会社の集まりでも。誰を連れてきても困らない店であることを、いちばん大事にしています。
ガスは使っていません。火の入り方が違うのと、肉の脂が落ちたときの香りが変わるからです。焼く速さは人それぞれなので、急かすことはしません。
キムチは白菜、大根、胡瓜を別々に漬けています。同じ漬け床にしないのは、水の出方と発酵の速さが違うからです。仕込みは朝からです。
囲めば、話は勝手に始まります。